苔を育てるには、
まずは自然界から苔を
いただかなければなりません。
生態系への影響を最小限に、
採取後にできた空間は同じ苔で埋めて補修します。
採取した苔は洗浄、裁断して
生えていた面積よりも広く植えていきます。
最終的には、自然界からではなく、
自分で増やした苔をさらに増やしていくのが目標です。
苔を育む
雪国の風土。
日本一小さい山脈、櫛形山脈の麓にある新潟県胎内市の坂井集落には、およそ250人が暮らしています。山脈に続く道には棚田が広がり、山から湧き出る豊かな清水が米を美味しく育ててくれます。
基本的にはこの水と雨という自然の水で苔も育てています。雪のおかげで冬は苔が乾燥することなく、元気に春を迎えられることは幸運のひとつです。そして冬の間、霜柱に悩まされることもありません。 春が来れば雪融け水となり苔を潤してくれます。
庭園向けのウマスギゴケの苗を栽培している組合です。
新しいものチャレンジすることを全く苦としない、
パワフルなお父さんたちと一緒に2018年7月に組合を立ち上げました。
活動資金は個々人が出資するとともに、
初年度は県の補助金も活用させていただきました。
集落内の休耕田1反(約1,000㎡)を活用し、
現在は約2,000ケースの苗が並んでいます。
胎内市に豊富に自生するウマスギゴケを、蒔きゴケ法にて増やしています。
ウマスギゴケは十分に育った仮根から芽を出すため、
仮根は採取しないよう十分に注意し根の上を刈り取ります。
朽網裕子 Yuko Kutami
福岡県出身/
mossy mossy Japan代表
日本蘚苔類学会員 / 日本苔技術協会員 /“坂井苔人”苔栽培組合 代表代理
-経歴-
■ 2007〜2016年 英国ロンドン在住
■ 2015年、苔が空気を浄化するという働きがあると知り、苔を栽培して娘の通う小学校の周りの空気がよくなればと思い、
新潟市の日本苔技術協会にて苔栽培を学ぶ。
■ 2018年 苔栽培に本格的に取り組むため、新潟県胎内市の地域おこし協力隊となる。同年、主にウマスギゴケを栽培する“坂井苔人”苔栽培組合が発足。
■ 2019年 胎内市坂井集落内の休耕田を借り、小さなポットに苔を植えて、園芸用の苔栽培を始める。
■ 2020年 mossy mossy japan設立
ワーキングホリデー制度を利用し2007年に渡英しました。ロンドンの日系商社へ就職し、就労ビザを取得しました。その後イギリス人と結婚、出産し2016年までロンドンで暮らしました。
もともと植物が好きだった私が苔に興味を持ったのは、私たちの住む地域の空気が悪いというデータを見たことがきっかけです。 苔が空気中の有害物質を吸着する働きがあることを知り、もし苔が流行ればロンドンの空気が少しずつ良くなるのではないかと考えました。 さらに苔について調べていくと、日本では苔の乱獲が問題になっていることも知りました。 空気の浄化と乱獲の防止を目標に苔を栽培してみようと思い立ち、日本に移住し今に至ります。
今ロンドンでは苔を使って空気を浄化するという試みが始まっています。 苔栽培の技術を培っていくことはきっと、環境問題を改善していく方法の1つになっていくという希望を持ち苔を栽培しています。